次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない

それどころか、今迄通りの距離を取ることさえ難しい。

大体、駿介と私では元々の恋愛スキルが違いすぎるんだ。

仕事が忙しいのか最近はいないみたいだけど、私が高校生くらいまでの駿介は常に付き合ってる人がいた。私が見たことあるのは数人だけど、みんな綺麗で静かでちょっと色っぽいタイプだったはずだ。

一方の私は恋愛経験はほぼ皆無。中学生の時に駿介への初恋を封印してからも、誰も好きになれなかった。

ただ、駿介を忘れる為に、と付き合った事はある。大学時代、告白してくれたサークルの先輩とほんの数ヶ月。でも会う度に、会話する度に駿介じゃない事を確認するばかりで、すぐにお別れしてしまった。

別れる時「記念に」と初めてされたキスが気持ち悪くて、私は一生恋が出来ないんじゃないかと軽いトラウマになったのも苦い思い出だ。それ以来、彼氏は作っていない。

ファーストキスでさえ上手くいかなかった私が、百戦錬磨だろう駿介に勝てるわけがない。

攻勢をかけ出した駿介に翻弄されて、毎日が過ぎていくだけで、反撃の機会も方法もちっとも解らない。