冷淡なる薔薇の王子と甘美な誘惑
 見つめ合い、お互いの心を重ねる。
 再び触れた口唇から、溢れる想いを混ぜ合わせる。
 けれど、口唇からだけでは足りなくて、ディオンは二人を隔てる衣服をすべて剥ぎ取った。

 熱い口唇が、フィリーナの想いをひとつ残らず集めるように身体中を這う。
 長い指が、フィリーナの心を暴くように邪魔立てする理性を吹き飛ばした。

 乱れる呼吸。
 たぎる身体。

「フィリーナ」

 意識が遠くなりかけるたびに、澄んだ声が呼び戻してくれる。
 応える返事は弱々しいもので、それでも、ディオンはフィリーナを手放さないよう強く優しく抱きしめた。


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