冷淡なる薔薇の王子と甘美な誘惑
*

 この日を境に、グレイスの夜遊びはぱったりとなくなる。
 代わりに、カレンはよく王宮へと呼び出されるようになり、そして、グレイスもまた公務がない日には城下に下り、町外れにある牧場の隅の小さな家へと足を運ぶようになった。

「グレイス様、そうやって突然来訪するのは、やはりいかがなものかと」

 公務を早々にこなしてくれたことは、イアンも感心していた。
 けれど、午後からの時間に暇を作ったグレイスが、喜々として深い緑のマントを羽織り、栗色の馬に跨っているところで大きく溜め息を吐いた。

「あれの驚き慌てふためく顔を見たいんだ」
「なんて意地の悪い。
 レディにも仕度というものがございます。
 連絡の早馬を走らせますよ? いいですね?」

 ふん、つまらん、と悪態を吐くものの、グレイスのその表情は、城下の娘と会うことを楽しみにしているという気持ちで、ほころびにほころびまくっていた。

 もちろん、イアンは、それを咎めることはしない。
 夜遊びにふけっていた頃とは違う気持ちで、穏やかに若い二人を見守っていた。
 始まったばかりの二人の物語は、そう時間を掛けずに幸せな結末を迎えるのではないかと、口元を緩めながら。




-fin.
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