冷淡なる薔薇の王子と甘美な誘惑
溢れる眩しい光の中から現れたのは、見目麗しき姫君。
絹のように艶やかな長い黒髪に、大きな紫色の瞳。
熟れた口元には薄く笑みを引いていて、品位の高さがうかがえる。
隣国ヴィエンツェから到着したレティシア姫は、同性のフィリーナから見てもうっとりするほどの美貌の持ち主だ。
一同が一斉に頭を垂れると、先導する背の高い従者に続いて、レティシア姫の気配がフィリーナのすぐそばを通り過ぎていく。
下げた視界の中を掠めていくのは、細かいレースのあしらわれた鮮やかな空色のドレス。
自分が着る仕事用の黒いスカートとは違う煌びやかな裾野に、フィリーナは大いに目を輝かせた。
「ご機嫌よう」
「ご無沙汰しております、レティシア姫」
お辞儀から直ると、グレイス王子が花道の中央で片膝をつき、レティシア姫を出迎えていた。
白くほっそりとした片手を優しく取り上げると、彼の口唇はレティシアの手の甲にそっと触れた。
絹のように艶やかな長い黒髪に、大きな紫色の瞳。
熟れた口元には薄く笑みを引いていて、品位の高さがうかがえる。
隣国ヴィエンツェから到着したレティシア姫は、同性のフィリーナから見てもうっとりするほどの美貌の持ち主だ。
一同が一斉に頭を垂れると、先導する背の高い従者に続いて、レティシア姫の気配がフィリーナのすぐそばを通り過ぎていく。
下げた視界の中を掠めていくのは、細かいレースのあしらわれた鮮やかな空色のドレス。
自分が着る仕事用の黒いスカートとは違う煌びやかな裾野に、フィリーナは大いに目を輝かせた。
「ご機嫌よう」
「ご無沙汰しております、レティシア姫」
お辞儀から直ると、グレイス王子が花道の中央で片膝をつき、レティシア姫を出迎えていた。
白くほっそりとした片手を優しく取り上げると、彼の口唇はレティシアの手の甲にそっと触れた。