現状報告!オタク女子ですが、エリート上司に愛されてます。
目の前に、彼の顔が近づいてくる。体温が、上昇する。

そして。


「沙代のこと考えて眠れなくなることは、あるよ」

彼はそう言って、そのまま……私に唇を近づける。


「ま、待って」

私は思わず、彼に制止をかけた。


「ん? 嫌だった?」

「そういうわけじゃないんですけど、こ、心の準備が……」

心臓がバクバク言いすぎていて、今キスなんてしたら、壊れてしまいそう。


「……でも、別にキスするの初めてじゃないし」

「そ、そうなんですけど、少し落ち着いてからでいいですか!?」

「いいよ。なにしたら落ち着く?」

「え、ええと……BLについて語っている時?」

「じゃあ、どうぞ」

「えーと、まず、『ガチムチリーマン以下略今夜も眠れない。』シリーズについてなんですが、まず主人公の見た目と外見のギャップがポイントなんですよ。見た目は筋肉質なのに、心は誰よりも繊細で傷つきやすいんです。そんな彼を好きになる上司は、主人公のそんな心の深い部分も理解したうえで好きになるんです。だから決して、身体だけが目的じゃないんです。だけどやっぱり、主人公からしたら、男同士ゆえの葛藤があり、だけど、自分のすべてを好きになってくれた上司のことを、やっぱり遠ざけられなくて、それで……」

「落ち着いた?」

「少し落ち着きました。話は続きますが、男女の恋愛と違うBLの魅力というのは、まあいろいろありますが、私が一番好きなのは、やはり恋愛が成就するまでの葛藤ですね。ちなみに私が好きな攻めの属性は、強引な人……」

「落ち着いたならいいよね」

言葉を遮られたのとほぼ同時に、私の頭に彼の右手が添えられる。
そして、そのままグイッと引き寄せられ。


「ん……」

キスを、された。
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