現状報告!オタク女子ですが、エリート上司に愛されてます。
だから。

「……好きです」

彼の腕の中に閉じこめられながら、自分の気持ちを素直に伝えてみる。
自分の気持ちをそのまま相手に伝えるって、簡単そうですごく難しいこと。
オタクであることを周囲にずっと隠していた私は、いつしか自分の本当の姿や本当の感情を隠すことが得意になってしまっていたし。
でも先日、自分の気持ちをそのまままっすぐに私に伝えてくれた橋田さんは、すごく素敵だった。
私もああなりたいから。


すると志木さんは。


「……そういうの、ほんと無理」

「え゛」

ウ、ウソ。『好き』って伝えるの、まさかのNG!?
で、でも彼はいつも私に対して言ってくれるのに……私が言うのはダメなの!?


ガーン、ガーンと頭の中で音が響く。
ショックを受けていると、彼は私から少し身体を離して、私と目を合わせながら。


「ここ、俺の家だぜ?」

「え? はあ。存じ上げております」

「ふたりきりだぜ」

「そうですね。わかっています」

「わかってねえだろ」

そう言われるのと同時に、トサ、と。私は彼に、ソファの上にやさしく押し倒された。


「志、木さん?」

「我慢、できなくなる」

彼はそう言って、スーツの上着を脱いでソファの背もたれにかけると、シュルッとネクタイを外した。
そして、私に顔を近づけると、少し強引に唇を押しつけた。


「ん……っ」

少し、苦しい。でも、嫌じゃない。

吐息が、熱い。この熱さは、私のもの? それとも、志木さんのもの?

彼はそのまま、右手で私の身体のいろんな場所に触れてくる。
腕、頬、足、そして、胸……。
< 140 / 142 >

この作品をシェア

pagetop