現状報告!オタク女子ですが、エリート上司に愛されてます。
良い雰囲気だったのに、なんだか急に現実に引き戻されたような感覚に、私たちは同時に固まる。
申しわけなく感じる。そのアラームも、ピピピという機械音ならまだしも、アニメソングだし……。


「す、すみません。すぐ止めます」

私は上半身を起こし、ソファから降りながら志木さんに謝る。


「別にいいけど……。ていうか、止める? 電話じゃなくてアラームなの? なんでこの時間に?」

「えーと、なんでしたっけ」

おかしいな、ほんとに思い出せない。
でも、この時間にアラームということは、たぶん……。


「あ!」

携帯のスケジュールアプリを確認して、ようやく思い出す。


「動画サイトで、私の好きなアニメの一挙放送がやるんですよ!」

私としたことが忘れてたー!
しかもしかも、私が高校生の時に大流行していた懐かしのアニメ!
そして、私がBLに本格的に目覚めたキッカケにもなった思い出のアニメ!
これは観なきゃー! そうだ、志木さんもいっしょに……


「……あれ」

振り向くと、志木さんが”ニコニコ”しながら私も見つめている。

でも、いつものやさしい笑みじゃなくて、真っ黒ーい方の笑顔。


……いくら志木さんが私のオタクを認めてくれているからとはいえ、この状況でのこれはやっぱり……



「……えと、なんか、ごめんなさい?」

「なにが?」

「志木さん、笑顔が怖いです」

「ん?」

その後、彼はソファを降りたかと思うと、さっきよりも強引に、激しく、私にキスをしてきて――


そして、その場に押し倒され――





……そこまででストップ、ということで、その後はソファにさっきと同じように並んで腰かけ、夕ご飯を食べながら、テーブルに置いた彼のパソコンでいっしょにアニメを観た。



「私、生まれて初めて好きになったBLが、このキャラとこのキャラのカップリングでした」

「あー、この組み合わせ、なんか沙代が好きそう」

「志木さん、私のことずいぶんわかってきましたね」

「そうだろ?」



これからも。


こんなふうに。


私のペースで変わっていきたい。
私たちのペースで歩んでいきたい。


私たちだけの恋愛を。



「で、この一挙放送、何時まで?」

「朝方までです」

「今夜は眠れないな」

「ね」


**End**
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