現状報告!オタク女子ですが、エリート上司に愛されてます。

『大迷惑よ』

社会人になって数ヶ月経った頃、ピシャリとそう言い放ったのは、私の母だった。

中学生の頃からやたら漫画を読み始め、高校に入学した時には既に立派なオタクだった私。
それでも、大学生の時までは、私がどんなに漫画を読んでいても、アニメを観ていても、ゲームをしていても、母はなにも言わなかった。
寛大な母だ。それとも、放任なだけなのか。どちらにせよ、親が私のオタク趣味に口を出してこないのだから、私は恵まれている。恵まれたオタクなのだ。……と、ずっと思っていたのだけれど、どうやら違ったらしい。
今までなにも言ってこなかったのだから、寛大なことには違いはないのかもしれない。だけど、放任、というのも少し違った。母は、私のオタク趣味を、ずっと気にしていたのだ。


『娘の趣味をとやかく言うのもどうかと思っていたから今までなにも言わなかったけど、さすがに社会人になってその生活はどうなの。オタク趣味が悪いっていうわけじゃないけど、休日だからっていつも家に引きこもって漫画読んだりテレビ観たり。そんなことばっかりしてたら、いつまで経っても嫁に行けないわよ」

なるほど。そういうことらしい。母は私が嫁に行けるかどうかを、ずっと不安に思ってくれていたらしい。そして、


『嫁に行けずにずーっとこの家にいるつもり? そんなの大迷惑よ』

……ということでもあるらしい。
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