現状報告!オタク女子ですが、エリート上司に愛されてます。
――……
「ごめん。ほんっとにごめん!!」
私の叫び声でバチッと目を覚ました志木さんは、起きた瞬間に状況を把握し、私からバッと離れるようにしてベッドから降りた。
私は逆に、布団に潜りこんで、恥ずかしさに耐えていた。
その後、彼の説得により、なんとか布団から抜け出し、リビングのソファに連れていかれ、隣に座った彼にさっきから何度も謝られている。
……寝ぼけることは誰にだってある。同じベッドでいっしょに眠ることだって、私が選んだこと。
だから彼を責める気は一切ないのだけれど、恥ずかしすぎて、”気にしないでください”と明るく返すことができない。
……だから。
「……帰りますっ」
私は立ち上がり、服やバッグを置かせてもらっている部屋に向かおうとする。
「ご、ごめん、ほんとに!」
彼が後ろから私を引き止めようとするのを気配で感じる。
だけど私は、捕まらないように、素早く部屋に逃げこんだ。
閉めた戸の外から、「沙代、沙代」と私の名前を呼ぶ彼の声が何度も聞こえたけれど、私は無視してしまった。
そして、着替えを終えて荷物をすべて持つと、戸の外から彼の気配がなくなっていることを確認して、あいさつもなしに彼の家を出てしまった。