毒、ときどき蜜
恥ずかしくてなにも言えずにいると、尚はトリュフのひとつを指でつまんで、


「おいしいから、梨央も食べなよ」


と唇に当ててくる。

口を開くと、舌の上でとろける、甘い甘い恋の味。


「餌づけ成功」


尚がくすくすと、やけに嬉しそうに笑う。


「甘いものさえあれば、梨央を一生飼ってられそうだな」



―――私の彼は、とても毒舌だ。

でも、ときどき、蜜よりも甘い。


だから、やめられない。

だから、もっともっと欲しくなる。



「―――もっと、ちょうだい」


私は、あーん、と口を開いて、彼がくれる極上のチョコレートを待ち受ける。








< 12 / 12 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:49

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく

総文字数/169,361

恋愛(純愛)300ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
どこにいても息苦しくて 世界は暗い灰色で そんなとき、君の絵に出会った 「俺はお前が嫌いだ」 「お前を見てると苛々する」 冷たくて残酷な君だけど 「俺は天才だからな」 その手が描く色鮮やかな世界は あまりにも綺麗で あまりにも優しくて 「今からお前に世界の全てを見せてやる」 君が私の世界を変えてくれた 「もうお前とは会わない」 それなのに、どうして 私から離れていくの?
だから私は、明日のきみを描く
[原題]だから、きみを描く

総文字数/71,249

恋愛(純愛)140ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
その瞬間、恋に落ちた。 次の瞬間、失恋した。 この恋は、やめなきゃ。 この想いは、消さなきゃ。 彼女を悲しませたくないから、 あの笑顔を守りたいから。 それでも、どうしようもなく、 きみが好き。 だから、私はきみを描く。 きみへの『好き』を消すために―― * 〈望月 遠子〉 大切な親友の遥と同じ人を好きになる 〈広瀬 遥〉 遠子の親友で、彼方に恋をしている 〈羽鳥 彼方〉 棒高跳びで全国を目指し練習に励む * レビュー御礼 竹久祐さま/氷月あや様/aonaさま 花野美桜さま/湖ヅキ様/黒乃輝光さま 小粋優心さま/森井あさと様/和泉りん様 リンク作品 『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』 2017年12月 りぼん冬の大増刊号で漫画化 2018年1月 単行本発売
まだ見ぬ春も、君のとなりで笑っていたい
[原題]それでも君はわたしの光

総文字数/126,518

恋愛(純愛)200ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
恋も、友情も 親との関係も、将来のことも なにもかもうまくいかない 悲しくて、悔しくて、苦しくて どうしようもなくて ひとり泣いていた私のもとに 舞い降りたのは 春の陽射しのように優しい歌声と 天使のような男の子 言葉にならない傷を抱えて それでも私たちは生きていく まだ見ぬ春も 君のとなりで笑ってたいから * 『だから私は、明日のきみを描く』の スピンオフ作品。遠子の親友・遥の物語

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop