先生。
蓮斗side
はぁ、なげぇよ。
新米教師の俺はなぜか副担を持つことになった。しかもセンター試験とかで忙しい3年のデリケートな時期に。
ホームルームを終えると一気に女子に囲まれた。
質問攻めをされてどっと疲れた。
そんな中にひとりだけぽつんと座る女の子がいた。
かわいい。
素直にそう思った。
その子は立ち上がり歩きはじめた
俺の横を通った時
柔軟剤のような清潔感のある匂いとタバコの匂いがした。
親がタバコでもすってんのかな。
気になってしまって俺の周りに集まった生徒に校長のところへ行くと言ってその子のあとをつけた。
「屋上…?」
俺に気付かず階段を上っていくその子の後ろ姿はとても美しかった。
栗色の髪に華奢な体。
程よく短いスカートに映える白い横顔からは長いまつげが覗いてる
教師でも人間だ
「一目惚れだなこれ。」
俺は屋上のドアをそっと開ける。
そこにはさっきまでの雰囲気とは一転して大人っぽい雰囲気でタバコを吸うその子がいた。
「まじかよ。」
その声にその子は振り返った。
「あっ、見られた」
その子はふわっと笑った。
「こんなとこでこんなことしてばれたらどーすんだ。3Aの子だよな。名前は?」
「結城さな」
「結城、この事は」
「大丈夫。担任も知ってる。」
「ほんとかよ。じゃ、俺も一服」
「先生、変わってるね」
