One of Them〜第一幕〜『下書き』
【訓練傍観室】
そこにはコウと白衣を着た男性がいた。
「うわぁ、凄いっすね……」
彼らが見てるのはつい昨日入ってきた新人3人が訓練室で応戦してる姿。
訓練室の上の階から見下ろす形で見るのだが訓練室からは傍観室が見えないように窓に細工してある。
その為現在進行形で戦ってる3人はコウが近くにいることに気づいてない。
「そうだね。魔法使い自体がうちの部隊初めてだからどうなることかと思ったけどいい戦力になりそうだ」
「………コウ先輩。彼女、アカデーメイアーの成績間違ってると思うんすけど」
「うん、僕もそう思う」
2人が注目するのは星月サヤだった。
「いや、水での形成自体は確かにDランクらしいっすけどあんな武器として機能するとかBランク以上っすよ」
「ははっ!後輩たちも新人に焦って本気で対応してるなー」
「先輩笑い事じゃないっす!チョッキ着てるんで力跳ね返ってますけど生身だったらあの水玉ヤバいっすよ!!」
呑気に笑ってるコウに泣きそうになりながら講義する白衣の男。
(……にしても、本当に彼女は面白いよ…)
『おい、矢がねぇぞ』
『弓引いたら勝手に形成されるよ』
『なぁこれ途中で破裂とかしねぇよな?』
『コントロールしてるからしない。それより大地くんはとりあえず応戦して』
『おぅ!』
『古宿くんは『俺に指図さんじゃねぇ』……貴方古宿一族のだからいい観察眼してるよね。彼らの動き見て弱点見つけてよ』
『だから指図すんじゃ『指図じゃない、頼んでるの。どっちにしろここは協力プレイが必須だよ。それともなに?君1人であいつら倒せる自信ある?』…………』
『自分の力を過信してなくて安心したよ。私は武器のコントロールに集中してて、サポートくらいしか出来ないけどよろしくね』
『…………ちっ。今回だけだぞ』
「わー、古宿一族の人手懐けてるの王族の人以外では初めて見るっすよ」
「(うんうん、チームワークもバッチリ。とっさの対応判断力も申し分ない。これは合格だな)機会見て訓練終わろうか。皆に指示よろしく」
「りょーかいっす」
白衣の男の元気な返事を聞いてコウは部屋を出て訓練室へ向かった。