One of Them〜第一幕〜『下書き』



【訓練室】


「ハァ、ハァ…広いっちゃ広いけど室内だから剣ふるいづれぇな」

ソラは膝に片手をつきながらもう片手で大剣を握って応戦する。

「……おい、」

「ん?なに?」

弓を放って黒ずくめを陽動させながらシンはサヤに声をかけた。

「あの服の中の何か、腕、足を曲げる時規則性に動いてる……感じがする」

「だとすると金属かなにかが差し込まれてるのかな。だったら古宿くん、その隙間を狙うことってできる?」

「………誰にものいってやがる」

「…………さすがー。期待してるよ」


シンはニヤリと笑みを浮かべるとゆっくり弓を引く。

(うわ、笑ったとか見るの初めてだけど怖いな…)

何かしようとしてるのがわかったのだろう何人かの黒ずくめがシンに向かってくる。

「ただの水だと思われたら困るなぁ」

パチン、とサヤがボソボソと何か言いながら指を鳴らすと黒ずくめたちが動かなくなる。

「おっ?止まった。……って、さみぃ!!」

「まぁ氷に変えちゃったからね」

ソラが足元を見ると氷が出来ており黒ずくめの足を凍らせていた。

「…………といっても、そんなもたないけど」

現に黒ずくめたちは暴れてなんとか氷から脱しようとしてる。

「十分だ」

シンは近くにいた黒ずくめの肩を狙う。

…………ヒュン!………パシッ!

「「「!!!」」」

だがそれは黒ずくめには届かず止まってしまった。

「はいはい、訓練終わり!」

水で出来た矢はコウが掴んでいた。

「え、先生!?」

「チッ!邪魔しやがって…」

「…………(気配気づかなかった。やっぱ軍人のプロって凄いなぁ、私には向いてないわー)」


「はいはいサヤくん魔法を解除してね!」

「………」

サヤが魔法を指パッチンで解除すると同時にソラとシンの武器、そしてコウの待ってた弓がパシャン!と弾ける。

「サヤくん、氷は?」

「あー、溶けるまで待ってください。固体と気体は操作出来なくて……」

サヤは苦笑いでコウに言う。

いつの間にか黒ずくめ集団はいなくなっていた。


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