パーフェクト・インパーフェクト
「……帰りたく、ないです」
もうこれ以上、わからないふりはできない。
「もっと知りたいです。ぜんぶ……教えてほしいです。このままおうちに連れてってほしいです」
へたくそな言い訳をならべて誤魔化すなんてできない。
「自分がいま、なにを言ってるのかわかってる?」
彼は優しい声のトーンをぐっと落としてそう言った。
年下の女の子をからかうのではなく、忠告するみたいな響き。
「はい……ちゃんと、わかってます」
それでももう後には引けないと思っているの。
恋愛なんてこれまでに一度もしたことがないし、男の人に夢中になった経験もないけど。
「わかった。……いいよ」
彼の左手は再びシフトレバーを握ると、静かにギアをドライブに入れた。
「俺の家に行こうか」
もうわたしは、泣いちゃうくらい、この人のことが知りたくてたまらないんだ。
もうすでに、この人のことをとても、好きなんだ。