パーフェクト・インパーフェクト
やがてそのまま自分の髪を乾かし始めた右手から、今度はわたしがドライヤーを強奪した。
ソファに膝立ちになって正面から彼の髪に触れる。
さらさらに見えてけっこうふわふわの質感。
瞳と同じ、漆黒の色。
「かゆいところはございませんかっ」
「うん、ございません、ありがとう」
笑った彼がわたしを見上げる。
至近距離で目が合う。
彼の右手がわたしの頬に触れた。
ぐっと引っぱられる。
スイッチの入ったままの電子機器がソファから転がり落ちていく。
一度目のそれよりも、なんだかずっと、うんと甘かった。
眼鏡のフレームがジャマだと思ってしまった。
「い、いきなり……」
「ごめん、かわいくて、つい」
「かわ!?」
「すっぴん、けっこう雰囲気変わるんだな」
わたしを抱きかかえながらドライヤーを拾い、スイッチをオフに切り替える。
触れられている腰がもぞもぞする。
「……すっぴん。ブス、ですか?」
「かわいいって言ってる」
ぐしゃりと頭を撫でられる。
さっきからずっと、彼のペースでむかつく。
キッチンのほうへむかった背中をあわてて追いかけ、うしろからむぎゅっと抱きついた。
くやしい。
もっと、わたしにどきどきしてほしい。