パーフェクト・インパーフェクト
「ねー、つけて」
「ん、いいよ」
もうすっぴんにパジャマだから、耳元だけ浮いてしまうかな。
それでも早く、身に着けてみたい。
高校に上がるとき、両耳にひとつずつ開けた穴。
薄っぺらくて小さい、お粗末な耳たぶに、彼の手が特別なピンク色を宿した。
ぱちり、
キャッチを装着してもらったとたん、どきどきが両耳から全身に広がっていく。
「ねえ、似合う? どう?」
「うん、似合うと思って選んだけど、想像以上」
「ほんと?」
すっかりテーブルの上になじんでいる卓上ミラー、わたしが持ってきて勝手に置いているやつを、手に取る。
いつも、ゴテゴテした派手なピアスをすることが多いから、こういうシンプルすぎるデザインのって、新鮮だな。
大人になったみたいでくすぐったい。
本当に似合っているかな。
似合うような女に、なりたいな。
「ほんとに、ありがとう。うれしい」
「どういたしまして」
おいで、と、甘く言われる。
あわてて鏡をテーブルに置き、膝のあいだに座ると、うしろからぎゅっとされた。
彼の手が首筋から髪をどけていく。
すぐに、キスが落とされる。