パーフェクト・インパーフェクト
  ✧︎*。


「と、いうわけで」

「どういうわけなんだよばーか」


まだ本題にも入っていないのに、顔面パンチのように飛んできたツッコミに心が折れそうになった。


「いいから最後まで聞けっ」

「やなこった」


雪夜(ゆきや)はきょうも通常運転で、むしろ安心する。


この、ふたつ年下の生意気なクソガキは、ママのイトコのムスコ、つまりわたしにとってははとこ(、、、)にあたる存在だ。

わたしたちの家系を遡ったどこかの先祖の血筋なのか、こいつもかなり整った顔立ちをしていて、それどころか顔面だけでいえばひょっとしたらわたしよりダンゼン美しいので、しゃべんなければ完璧なのに、って17年間ずっと思い続けている。


だって雪夜は暴言を吐きながら生まれてきたんじゃないかと思うくらい口が悪いの。

うるせえ、ばーか、ブス、デブ、だまれ、エトセトラ、
小学生男子みたいな語彙力。


「よくもこの上月杏鈴にそんな口がきけるよね。そろそろわたしのファンに刺されればいいのに」

「おまえなんかをチヤホヤしてやがる世の中の趣味がマジでイミフ」


あーいえば、こーいう。

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