君を好きになるって、はじめからわかってた。

 そんな奴が突然現れて変なことを言う。
 …………。

 私は無言で冷めた視線を送る。

「相変わらず冷たいな、俺には……」
「関係ないでしょ」
「いいじゃん。ただの幼なじみじゃないだろ?」
「またそんなバカなこと。高坂こそ彼女ができても、そういうとこは相変わらず……ウザい」
「傷つくわ~」
「はいはい」
「ホント可愛いくねぇーな。あの時は可愛いかったんだけど」
「そういうとこがダメなんだって」
「じゃあ次は泣くなよ。もう守ってやれねーからな」
「別に頼んでないし、青柳くんはそんなんじゃ……」

 高坂の視線が私の背後にそれて、誰かいるのだとわかった。

 「青柳くんね……」

 そう呟いた高坂の顔が少し冷たく感じて、私が後ろを振り返ると青柳くんが同じような表情で立っていた。

「じゃ、俺は退散するかな」

 そう言って高坂は背伸びをして、そのまま階段を上がって行った。

 結局、何だったんだろ?


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