青春はチョコレートの味がした
転校初日
まだなれない土地なので1人で登校するのには気がのらなかったけど、おじさんに迷惑をかけるわけにはいかず、なんとか学校までたどり着くことができた。
「ふぅ〜…やっとついたか…」
へぇ…ここがこれから俺の過ごす学校か…。
校舎も比較的キレイだ。
ガラスに映る制服も中学のときの学ランと違いスゲーかっこいいブレザーで…。
これは案外
「悪くな…」
「どけ」
!?
突然俺の声と誰かの声が重なって俺は勢いよくその声の主へと視線を注いだ。
えっ?ていうか生徒はもう教室にいなきゃダメな時間なんじゃ…。

「は…………」

言葉を無くすってこういうこというんだろうなぁ。
そう思わせるには充分だった。
その声の主はめっちゃめっちゃ整った顔でおおよそ150cmくらいであろう小さな体つきをしていた。
瞳なんかでかくて、そんでもって、青紫色のグラデーションがとてもキレイでまるで宝石のような輝きを放っている。
少し紺色がかった艶のある肩にかかるかかからないかぐらいの黒髪もそれを一層引きだたせていたし、制服はブレザーを着崩していて、そのダボッとした感じとキラッとひかるボタンがまた妙に雰囲気をかもし出している。
ズボンの裾はまくってあって7部丈。
首には黒とピンクのヘッドホン。
それがまとまっていて違和感がない。
いつまでも見ていたい衝動に駆られるがここは我慢である。
「悪い、邪魔だったよな?」
ヒョイっと俺が横にはけるとその子(顔が中性的すぎて男か女かわからん この学校は女子もズボンOKらしいし)はこちらをまじまじ見上げてそれから興味を無くしたらしく上履きに履き替えテクテクとさっていった。
俺はさっきまでその子がいた靴箱の前にたつ。
そこには「陰塚優」と書かれていた。
「なんて読むんだ?いん…いや、かげ?
かげづか…ゆう?」
珍しい名字だな
もっと色々クラスとか知りたかったけどそろそろ行かないと時間的にヤバイ。
少し名残惜しかったが俺は駆け足で職員室へと向かった。
その靴箱の前からほんのり甘い匂いが漂った気がした。
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