冷徹副社長と甘やかし同棲生活

 つまり、椿さんの考えは、キス以上のことはしないということか。

 私はてっきり、身体に触れることすらしないという意味だと思っていた。

 どっちの考えが正しいとかはないけど、とにかく膝の上に座るのはハードルが高すぎる。


「は、恥ずかしくて無理です」

「……かわいいやつだな」

 椿さんは、まだ立ったままの私の腕をつかみ、強く引き寄せた。

「きゃっ」

 バランスを崩して倒れそうになる私を、椿さんは身体で受け止めた。


「あんまり可愛いと、いじめたくなる」

「つ、椿さんのドS!」

「誉め言葉だな」

 ぎゅっと抱き締められ、少しだけ呼吸が苦しい。でも、全く嫌じゃない。


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