冷徹副社長と甘やかし同棲生活

 どうしてだかわからないけど、イライラする。今夜、少し期待していたのだろうか。

 ピザをネット注文したあと、私はあえてダイニングテーブルの席に座った。


「どうした? こっちに座ればいいのに」

「……なんとなく」

「何を拗ねているのか知らないが、早くこっちにこい」

「わかりました」


 そっけなく言ってしまったけど、呼ばれてうれしい気持ちもあった。恋心はなんて複雑で面倒なのだろう。

 いつものように、斜め向かいに座ろうとすると、

「違うだろ、ここだよ」と、椿さんは自身の膝を指差した。


「か、からかうのはやめてください!」

「俺は本気だ。はやく抱き締めさせろ」

「さっき手を出さないって言ってたじゃないですか」

「このくらい許容範囲だろう?」



< 259 / 321 >

この作品をシェア

pagetop