冷徹副社長と甘やかし同棲生活

 私自身気づかなかった本当の気持ちを、言い当てられたと感じた。そうでなければ、耳まで熱を持ったりしないだろう。

 私が、こんな下心を持っていたなんて夢に思わなかった。


「では、お言葉にあまえて」

 椿さんは私の身体を起こすと、すぐに唇を重ねてきた。

「んっ……」

 何度も、何度も、唇を重ねるだけのキスなのに。どうしてこんなにも気持ちよくて、心が満たされるの?


「……大人のキスはもう少しお預け、だな」

「はい……」


 これだけのことで全身の力が抜けて、椿さんにもたれかかってしまう。
 これ以上のことは、私も、心の準備が必要だと感じた。




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