冷徹副社長と甘やかし同棲生活
副社長の冷たい一言を聞いて、目が覚めたような気分になった。
やっぱり、自惚れていただけなのだろう。私に優しくする理由なんてないのだから。
返事をする気力もわかなかったので、沈黙をごまかすように外に目をやった。
いつの間にか、見覚えのある場所まで来ていた。よく通勤で歩いている道だ。
ほどなくして副社長の車は住宅街に入り、とあるマンションの前に車を停めた。
「ついたぞ、降りろ」
副社長の家は、本社ビルから徒歩五分ほどの、高級住宅街と呼ばれている場所にあった。
私の想像をはるかに超えた立派なタワーマンションは青空にそびえたっている。
温かみのあるベージュを基調としているからか、不思議と景色に溶け込んでいた。