冷徹副社長と甘やかし同棲生活

「鬼って……怖い人なんですか?」

「怖いってもんじゃないよ。副社長に仕事ができないって思われたらもう最後、クビにされるんだから」

「ええ、クビに!?」

「そうそう。勤務態度も厳しくみられていてね、こうやって雑談してるだけで減給対象になったり……あ、カッシーはこれ持ってる?」


 菅野さんは、デスクの引き出しから名刺サイズの紙を取り出した。
 なんだろう、と思ってのぞいてみると、【鉄の掟】という文字が目に入った。


「てつのおきて?」

「簡単にいえば、うちの従業員はこれを全部守れってこと。何枚も持ってるから一枚あげるよ」

「ありがとうございます」

「副社長が来る日は、デスクに見えるようにおいておくといいよ」


 菅野さんのアドバイス通りに、一番目がいく場所である、パソコンのディスプレイに貼っておいた。
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