俺の罪、甘い罰。
「先生…。」


俺の手を両手で包みながら呼びかけた河原は、


俯き加減で、握り締めている手を見つめているようだった。



「うん?」


俺が彼女の頭に摺り寄せていた頬を少しだけ離して問い掛けると、



「もうすぐ離れ離れになっちゃうね。」


そう言いながら、彼女は俺の指を引っ張ったり、反らせたりしていたずらをした。



彼女がこの街にいるのは、日曜日である明後日までだ。


遅くても明後日の夜には、自分が勤める会社と自宅がある街に戻ってしまう。


彼女が地元であるこの街に戻ってきているのは、決して全てを引き払って戻ってきたわけではなく、


あくまでも仕事の為に、3ヶ月間帰省していただけだから…。


彼女の任務が終わった以上、離れ離れになるのは分かりきっている事だった。


だからこそ、


俺はこの時間を一緒に過ごして、彼女の存在を実感したいと願ったんだ。



沢山話して、色んな河原の表情が見たい。


何度も抱き締めて、キスをしたい。


きっと…


河原、お前も同じ気持ちだったんだろう―…?
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