欲望の飴と飴売り少女
飴の包み紙が落ちた。

「何か落ちたよ」

本郷 裕翔は拾う。拾うと顔色を変えた。

「ねぇ、これって願いが叶うって奴?」

あたしは驚いた。あたし以外にも知っている人がいたなんて。

「ど、どうしてそう思うの?」

「俺が今通ってる学校にその飴で願いを叶えてた子がいたんだけど。 同じ包み紙だから」


「そうだけど…」

この飴の約束には他人に話してはいけないとあったけど、自分から言ったわけではないから問題はないはずだ。


「この飴すぐ食べるのやめた方いいよ」

こいつ…もしかしてあたしの飴を奪うつもり?

「は?これはあたしの飴なの。あんたなんかにあげないから」


「いや、そういう意味じゃ…」

今飴を持っているならこいつを消したい。何でこんな時に家なんだよ。


あたしは立ち上がった。
「あんたなんかに渡さないから」

あたしは本郷裕翔の逆の方を向いて走った。

本郷 裕翔はあたしの手を掴み「その飴を食べ続けると莉子みたいに死んじゃうから、本当に今すぐやめて」


「あんたに関係ない」

死んじゃう?意味が分からない。手を振り解き走った。
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