Elevator Girl
「ええっ!?」

あげた声はほとんど悲鳴に近かったと思う。


だって…!

ここのスイートルームは、噂によると一泊200万!


「うるさい」

「で、でもっ」


「好きな女には、金は惜しまない主義だから」



どこか自慢気な台詞に、呆気にとられた。

久保って……こんなこと言う奴だっけ。


びっくりしながらも、自分の顔が赤くなるのが分かる。




「…チョコ、ありがとな」

「え」


見ると、鞄に入っていたはずのチョコは、机の上に置かれていた。

「あれ、俺にだろ?」


あまりに予想外のことが続いて、呆然としていると、
久保は少し焦ったように、私の顔を覗きこむ。


「……あれ、違った?」

慌てた様子に、思わず笑いがこみ上げた。


「違わない。久保の、チョコ……ただし昇進祝いの、だったけど」


「それは、今も?」


「…ううん。もう、バレンタインの本命チョコになった」                                                                                                      
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