いつまでも弟だと思うなよ。
「可奈、準備でき……」
いつも通り私服で立っていたチカの目の前に現れると、チカは口を閉じる。
「…どうしたの、それ」
それから、驚いたようにそう聞いてきた。
「あ、えと、美沙がやってくれて…」
「…あぁ、勇太の姉貴か」
チカはポツリと納得したように呟くと、何故かふいっと私から視線を逸らした。
「え、チカ…?」
その行動になんとなくショックを受けてしまう。
やっぱり、似合ってなかったかな。
分かってはいたことだったけど、どうしてか落ち込んでしまう。
「あー、違う違う」
「え?」
すると、チカが言葉を発した。
顔は相変わらずこっちに向いていないけど。