いつまでも弟だと思うなよ。
「そ、そんなんじゃないよ!」
咄嗟にそう出てしまったのは、チカに誤解されたくないと思ったから。
私が、チカを好きになった証拠。
「ふーん」
それなのに、チカから返ってきた返事は信じていないようだった。
「ち、チカだって…」
「ん?」
「いや、やっぱ何でもない」
チカだって、金城さんと仲良くしてるくせに。
そんなこと、言えるわけがなかった。
会話がなくなってしまい、次の言葉を探そうと必死に頭を働かせる。
「あ、奥原くんっ!ちょっと来てー」
「千景ー、見ろよこれー」
が、別の方向からチカの名前が呼ばれてしまった。
「じゃ、あとで」
それだけを残して、チカの足は呼ばれた方へと向かってしまう。