年上の彼。
1.幼馴染
____幼馴染。






「風邪引くぞ〜」

そう言いながらベランダに出て着た彼の髪はまだ濡れていた。

「裕ちゃんこそ。……お風呂上がり?」

真っさらな白のTシャツにグレーのスエット、無造作な髪から滴る水滴は色気さえも感じる。

「おうよ。風呂上がりは涼みながらビール。これが大人の醍醐味だ」

日も暮れて春の夜風が心地よい季節。

プシュッと缶ビールを開け喉越し良く飲んでいる姿は本当に憎たらしいほど絵になる。

「お前も飲むか?」

「……ビールは苦いからいい」

「もうすぐ社会人なのにお子ちゃまだな?そんなんだと歓迎会とか大変だぞ〜 今のうちに慣れとけ」

そう言いながら手に持った煙草に火をつけた。

「………煙草。辞めたんじゃなかったの?」

「大人は色々とあるんだよ」

「言い訳?」

「うるせぇ。ほっとけ」
< 1 / 10 >

この作品をシェア

pagetop