君のカメラ、あたしの指先
 生ぬるい風が頬をなでていく。
 この風が身を切るような冷たさになるのも時間の問題なんだなあ、と思いながら、有紗のことをぼんやりと考えた。


 私のちょっと変わった趣味の話を初めて打ち明けた相手は、有紗だった。

「あゆみちゃん……あゆちゃんは、お休みの日とか暇な日は、なにするの?」

 有紗はショッピングとか、音楽を聴いたりとかが好きらしい。女の子らしい、イメージ通りの可愛い趣味だ。
 それに比べたらあたしの趣味は……

 可愛くないというか、なんというか。
 ひきこもりというか。
 
 あたしがあー、うー、と眉根を寄せていると、慌てて有紗がフォローを入れた。

「ごめんね?! 言いたくないことだったらそんな、言わなくてもいいからね?!」

「いや、ごめん。そういうんじゃないんだけど、その……」


 恥ずかしかったんだ。
 誰にも言ったことがなかったから。
 どう思われるのか、怖かったんだ。
 せっかく心を開いてくれた有紗に、あの時確かにあたし自身も少し心を開きはじめていて。だから、余計に怖かったんだ。

 でも……


 知って欲しいという気持ちの方が、結局勝った。
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