君のカメラ、あたしの指先
☆ ☆ ☆ 





「そっかあ、そういうことかあ」
「そういうこと」

 ところどころはしょりながらあたしの脳内会議を有紗に説明すると、彼女は明らかにほっとして全身の力を抜いた。良かった、あっさり誤解がとけて。

「私があゆちゃんにずっと優馬くんの話をしてたから、あゆちゃんも優馬くんのことが好きなのに言えなかったのかと思って」

「違う違う」

「だとしたら私、すごいひどいことしてたんじゃないかって思って……でも優馬くんのことは、例えあゆちゃんでも譲りたくなくて……あ、でも、あゆちゃんの方が美人だしすらっとしててお似合いだとはね、思うんだよ……」

 いいこと言ってる! と思ったのになんで途中から弱気になってるんだ。

 あたしは椅子に座っているのに思わずこけそうになった。

「いやいや。あたしに遠慮するとこないでしょそれ。ていうかあたしがあなたより美人な訳ないでしょう?」

「美人だもん! あゆちゃんはキレイでかわいいもん。みんなあゆちゃんの事見てるよ。男子の視線くぎ付けだよ??」

 それはあなたですよ。あたしじゃなくて、みんなあなたを見てるんですよ、結城有紗さん。

 無自覚ってほんと怖いわ。

 力説して鼻息が荒くなっているのにほら、こんなに可愛いんだよ。
 毎日鏡みてる? ってききたいです。
 あーやだやだ。ちょっと泣きたくなる。いろんな意味で。
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