君のカメラ、あたしの指先
「ええと次は……『何やってるの?』だっけ。聞かなくても知ってるけど」

 彼はもたれていた体勢をゆっくり起こして、あたしの方へ近づいてきた。一歩がスローモーションに見える。あたしの脳が追いつかない。

「や、えっと、その、さっきのは」

「手伝うよ」


 あたしの声を完全に無視して、彼はあたしの向かい側に立つと出来上がった資料の山に手を伸ばした。パラパラと順番を確認して、同じ手順で手早く資料をまとめ始める。

 しばらくその動作をあたしは呆然と見つめていた。フリーズが解けたのは彼が三部ほど資料を作り終わった頃だった。

「いや、いやいやいやいや」

「なに」

「いや、『なに』はこっちのセリフで」

「手伝ってるんだから吉野さんも仕事しなよ」

「あ、はい……じゃなくてさ?!」
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