サトウ多めはあまあまデス
 カレーが食欲をそそる匂いをさせて食卓に並べられる。

 盛り付けも手伝って「ココが手伝ってくれたから今日は格別な味だろうね」とケイちゃんが褒めてくれても心は晴れなかった。

「そういえば手紙来てるぞ。」

 手紙!?

 落ち込んでいた気持ちをワクワクに変えて受け取った手紙は味気ない封筒だった。
 差出人は内定した会社からだった。

「え…こんな時期に…。まさか内定取消しとかじゃないよね?」

「さぁ」と素っ気ない返事のケイちゃんに余計にやきもきして封筒を開けてみた。

 堅苦しい季節の挨拶から始まるそれは入社式の日にちの連絡と社員証用の写真、戸籍抄本の提出依頼の手紙だった。

「良かった〜。入社式の連絡とかだった。」

 フッと鼻で笑ったケイちゃんは馬鹿にしてるんだろうな。

「入社式のスーツ買いに行かなきゃな。」

 鼻先で笑ったケイちゃんからの思いもよらない言葉に本当に色んな意味でパパ代わりなんだろうなと思った。
 そんなお荷物のお世話してたらそりゃ幸せなんて思えないかもなぁ。

「大丈夫だよ。スーツは優ちゃんと買いに行くから。」

「優ちゃん…。」

「あ、あの居酒屋さんでケイちゃんを席まで案内してくれた子だよ。」

「ふ〜ん。」

 ケイちゃんはまた気の無い返事をした。

 興味ないなら聞かなければいいのに…。

 そう思うと気持ちが落ちてしまいそうになって急いで急浮上させる。

 落ち込んでても仕方ない。ケイちゃんが幸せって思えるように私が頑張ろう!

 そう気持ちを切り替えると元気がわいてきてケイちゃんにお願いした。

「もう一度ママとお電話したいんだけど、お願いできないかな?」
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