サトウ多めはあまあまデス
 洗面台の前で鏡を見ると顔は赤い。

 そりゃそうだ。あれだけお色気攻撃されたら…しかも好きって気づいた途端にあまあまが上乗せされるって…。
 心臓もたないよ…。

 でも…。好きだから照れてるのか色気だだ漏れで照れてるのか分からないや。ふぅ。

 とにかく呼吸を整えて普通に接しようと心に決めてダイニングへ戻ることにした。

 席に着く前にキッチンから箸を取り、ケイちゃんの前に座る。

「そんなに俺の隣は嫌なのか?」

「そうじゃないけど…。」

 心なしか…ケイちゃん拗ねてる?

「だいたい瑠羽斗の膝には乗って食べたりするんだろ?」

「従兄弟のルーくんの話?だからそれは子どもの頃!」

「俺とはそんなことしたことない。」

「そりゃ子どもの頃は一緒に居なかったから…。」

 ケイちゃんは少しむくれてそっぽを向いた。

 なんだろう。やっぱり今日のケイちゃん子供っぽい…。だってそれじゃまるでケイちゃんこそルーくんにヤキモチ焼いてるみたいだよ。

 おかしくて思わずクスクスと笑っているとケイちゃんはブスッとした顔で不服そうな声を出した。
 そんな顔も始めて見た。

「瑠羽斗より誰より俺が一番心愛の近くじゃないと嫌だ。」

「なんで急にそんなこと…。」

「なんだよ。俺、お兄ちゃんなんだぞ。」

 お兄ちゃん。の言葉に少し胸がチクッとする。

 お兄ちゃん…。そうだよね。でもケイちゃんはそうだとしても私は…。
 好きなんだもん!緊張するんだもん!

 そんなこと言えるはずもなく黙っているとケイちゃんが隣の席に来た。

「ほら。ここに来いよ。」

 そう言うが早いか腰に手を回されて、ふわっと体が浮かされた。
 着地したのはケイちゃんの膝の上。ギュッと抱きしめられる。

「ココって抱き心地いいんだよな。このまま乗せときたい。」

 だからどうして今日は…。甘過ぎてクラクラするよ。

「重いんでしょ?」

「重くてもいい。」

「重いんじゃん!」

 ククッも笑ったケイちゃんは急に声を落として話し出した。
 抱きしめられたままで顔は見えない。

「俺の幸せは…ココが笑ってることだから。だからこのまま…笑ってろよ。」

 なんて返事したらいいのか、嬉しいのに何故だかケイちゃんを遠くに感じてしまった。
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