サトウ多めはあまあまデス
 結局はものすごく時間がかかったけど、ほぼ食べ終わった。
 あとはケイちゃんの最後の一口を残すのみとなった。

 な、長かった…。

「ねぇ。たまには俺にも食べさせてよ。」

 箸を渡されて隣の席に降ろされた。

 えぇ。ずっと膝に乗せられたままでしたよ。

「食べさせてって…。」

 もうこの際、食べさせるくらいどうってことないか。
 そう思って残りの一口を箸でつかんでケイちゃんの口の前に差し出した。

「あ〜んして?」

「あ〜ん。」

 開けられた口にそっと残りの野菜炒めを入れた。

 ただ食べさせるだけと思っていたのに、そのケイちゃんの姿がなんかものすっごく色っぽくてなんだか…。

「何?食べたかった?」

 ジッと見ていたのが物欲しそうに見えたみたいで口元についてしまったソースを舐めるケイちゃんに質問された。

 そのソースを舐める姿も…なんかさ…もしかしてわざと?

 動揺していると、ふいに手をつかまれて引き寄せられた。
 近くなる顔にドキッとする。

「ほら。今日の分。」

 頬をちょんちょんと指されて、食事を作ってくれてありがとうのチューを要求される。

 何がなんだか今日のケイちゃんは…と半ばヤケクソでチュッと頬にキスをして、逃げるように2階に向かった。

「後で片付け手伝うから先にやっちゃダメだからね!」

 と、捨てゼリフを残して。
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