恋の神様におまかせ♪
「―――かっ、」
「……ん?」
鼻先が触れあって、唇が触れるまであともう1、2mmって時に、油良が口を開いた。
俺はピタッと動きを止めて、目を開く。
「かっ、か、か、か、風邪、が!移るから!」
そう叫んで、俺の肩を震える手で押す。
……この期に及んで、そう来るか。
苦笑をこぼして、やれやれと油良から離れる。
真っ赤になった顔を隠すように、俺の手からマスクを奪ってつけなおす油良。
「……さっきの、質問、」
「ん?」
「道島くん、を……す、すす好きかって……やつ……」
マスクの上からさらに手で口を覆ってて、くぐもった小さい声を、聞き逃さないように耳を傾ける。
「……風邪がなおったら、その………言います」
なんで敬語なんだよ。
膝に顔を埋めてしまったので顔が見えないけど、長い髪の隙間から覗く耳が真っ赤だ。