冷徹部長の愛情表現は甘すぎなんです!
「だけど、俺が体調を悪くしていたことに気づいた君に『いい加減にしてください』と言われて、こうやって俺にはっきりと言ってくる女って新鮮だなってますます気になった。会社以外で君と話をしてみたいと思ったし、君に俺のことを好きだと言わせたくなったんだよ」

口もとを緩めた魅惑的な由佐さんの言葉に、彼がそんなことを考えていたのかとなぜかわたしが恥ずかしくなってしまう。

「由佐さんが好きって言ってくれたら、わたしいろいろ悩まなかったのに……。その場だけの“恋人扱い”でキスなんてするし……」

「あー……あれはもう、衝動的にキスしたくなった。君だって、恋人扱いでうなずくのなら、俺に気持ちを言ってくれてもよかっただろう」

言えなかった……。その場を楽しんだだけのキスだったのかなと、わたしは考えていたし。
お互いそれぞれ思うことがあって、気持ちが言えなかったんだ……。

「香弥さんが現れて、わたしすごく焦りました。美人に言い寄られたら、由佐さんはどうするんだろうって。好きって伝えたいって思っても、勇気が持てなかったから……由佐さんと香弥さんのことが気になって、三坂さんのお店に行ったんです。そうしたら、ふたりがお店に来て……」

そうだったのか、と由佐さんはなんだかほっとしたような顔をした。そういえば、お店で会った次の日に由佐さんの家で三坂さんに話したかったことはなんだったのか、彼に訊かれたんだよね。
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