冷徹部長の愛情表現は甘すぎなんです!
「君の態度がおかしかったとき、俺は香弥さんを親しい先輩っていう目で見ていたから、君が気にしているなんてまったく思わなかったんだ。あの日も、純の店で飲もうって言われて付き合っただけだった」

由佐さんが香弥さんと一緒にいたのは、親しい友人として。でもわたしは香弥さんの気持ちを知っていたから、平静と見ていることはできなくて……由佐さんに変な態度をとってしまった。

「だから、君が純になにを話したかったのか、俺に対して態度が変だった理由がそこにあるのかと考えたら……俺も焦っていたんだよ。それでむしゃくしゃしていたけど、俺が香弥さんのいる会社に移るという噂が流れたとき、君が俺のことを考えているなんて、真っ赤な顔で言うから……どうでもよくなったし」

由佐さんはふっと笑って、「もうとっくに好きなのに、いつまでも言わないのが悪かったんだよな」と、穏やかな声で言ったので、わたしも笑ってうなずいた。

今までお互いがどう思っていたのかを知ると、本当に、早く素直になれていればよかったのだと思う。
再会したときのことをふたりとも引きずって、同時に様子を見てしまってなかなか想いが言えなくて……。

わたしの頭を優しく撫でてきた由佐さんは、そういえば、と思い出したような声をだした。
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