冷徹部長の愛情表現は甘すぎなんです!
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今までもわたしは、由佐さんのことをかっこいいと思っていたし、好きって気持ちがあったけれど、これからもっと彼のことをかっこいいと思って、好きだって気持ちでいっぱいになるだろう。

恋人の由佐さんに、たくさんドキドキしてしまいそう。

付き合いはじめて二週間が経ち、甘い胸の高鳴りに浮かれ調子になっている状態。

由佐さんは会社でも普通に声をかけてきて、一緒に昼食を食べたり、帰りは一緒にオフィスを出たりすることがあるので、課ではなんとなくわたしたちの仲に気づいている人もいるだろう。

「やっぱりふたりとも、付き合っているんだろ」


仕事が一段落してパソコンから手を離し、ひと息ついたとき、隣のデスクの谷池さんがこっそりと話しかけてきた。
谷池さんに隠す理由はないなと、わたしはそっとうなずいてそうだと返事をすると谷池さんは口もとを緩める。

「あ、でも、飲み会のときに谷池さんからいろいろ訊かれたときは、付き合っていませんから。最近ですよ、最近」

「へぇ、そうなのか。いやー、でも俺はふたりが付き合いそうな感じがしていたからさ。よかったな、社内人気上位の市崎課長の恋人になれて」

ニヤニヤしている谷池さんに、照れてしまったわたしはうつむく。“市崎課長の恋人”だなんて言われてしまうと、なんだか恥ずかしいじゃないか。
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