冷徹部長の愛情表現は甘すぎなんです!
「あの男の言う通りだよな。俺が気づいてやるべきだし、守ってやるべきだ」

「ゆ、由佐さんそれは、あのっ……」

「君が“目立つので、やめてほしい”と言ったとき、そこまで深くは考えてなかった。噂だろって、思うだけで君がそこまで困っていることに気づかなかった」

それは、由佐さんの前で言う人が少なかったからだ。先程のようにあからさまに言うのは、彼がいないときなどが多かった。
由佐さんは噂などをあまり気にするような人ではないから、気づかないのは仕方ない。

彼と社内で話さなかった数日間、今までのようにちょっとした合間に声をかけてもらうことがなくなって、寂しかったし気分も落ち込んでいた。
わたしは由佐さんの恋人なのだから、もっと堂々としていいのに。誰になにを言われたって、由佐さんを好きな気持ちは変わらないのに。

「自分のことばかりで、俺は君のことを考えてあげられていなかった。……悪かったよ。だから、少し距離を置こう」

「……え?」

彼から告げられた言葉が頭の中でぐるぐると回っている間に、エレベーターが一階へとたどり着いた。
距離を置こうって……? 付き合っている今の関係からお互い離れるってこと?

由佐さんが先にエレベーターから出ていって、ぼうっとドアの外を見つめる。
このままでいいの? 話をしないままで、距離を置こうって一方的に言われて……わたしは、こうなりたいわけじゃないのに。
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