冷徹部長の愛情表現は甘すぎなんです!
大事なことを伝えないで、結果遠回りしている自分はもう嫌だ。
わたしは急いで由佐さんを追いかけた。自分が思っていること、したいこと、彼に言わないとダメだ……!

「由佐さん!」

ちょうどビルの出入口から外へと向かった彼を呼び止めたとき、振り向いた彼は苦しそうに眉を寄せていて……その表情に胸が締め付けられたわたしが駆け寄ると、抱きとめられた。

「距離なんて置きたくない……噂なんてどうでもいいの……由佐さんと、付き合っていたい」

ぎゅっと腕に力を入れてわたしを抱きしめる由佐さんの温もりを感じながら、思っていることを伝えた。
本当に、どうでもいい。そんなことで由佐さんとの付き合いを邪魔されるなんて、嫌だから。

由佐さんは少しだけ体を離し、わたしの頭を撫でてそっと顔を覗くように見る。

「ごめん、浜野ってやつに言われたことを引きずって、君に意地の悪いことを言いたくなった。本当はもっと優しくしたい……恋人として守ってやりたい。俺が全部、そばにいてしたいんだ」

切なげな声に、涙がでた。ビルの前で抱き合って、目立っているとわかっていても、離れられなかった。
不器用な優しさと、わたしを想ってくれている気持ち。由佐さんのこと、もっと大切にしたい。

「ごめんなさい、ちゃんと話をしなくて……」

「俺も……悪かった。反省する」

目を合わせて、どちらともなくほっとしたような笑顔を浮かべたわたしたちは、もう一度抱きしめ合った。
それだけでもう、お互いの想いが伝わったような気がした。
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