冷徹部長の愛情表現は甘すぎなんです!
そんなわたしを、夏穂子は瞬きを繰り返して見てくる。

「いやいや、あんなに悶々と悩んでおいて好きじゃないって否定するの?」

「っ……、あの人に『好きになるわけがない』って言っちゃったし、だからわたしも、もうそういう気持ちは消し去ったから。冷たい人で幻滅したし、そのうち忘れるもん」

あんなに堂々と彼に言っておいて、本当は好きっていう気持ちがあったなんて、もう絶対に言えない。だから、この気持ちは終わったことにしておかないと。
夏穂子が、それでいいの?という顔をしているのに気づいたけど、わたしは黙ってうどんをすすった。

「……まぁ、紘奈がいいならいいけど。そうだ、今度お昼休みに二階にあるカフェでランチしよう! コーヒーとサンドイッチがすごく美味しいからさ!」

明るい声でそう言った夏穂子に、話が変わってよかったとほっとしながらわたしはうなずいていた。


次の日、お弁当を作って朝食をとり、ブラウスにジャケットを着て早めに出社した。
営業課の始業時間は八時半だけど、会社に着いたのはその一時間前。仕事を覚えたいから、デスクで少し勉強しようと思った。

会社のエントランスは静かで、いつもいる受付の女性社員もまだいない。営業課にも人は来ていないだろうとドアを開けたけれど、デスクに由佐さんが座っていてわたしは入口で固まってしまった。
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