冷徹部長の愛情表現は甘すぎなんです!
「だから由佐、紘奈ちゃんのことよく見つめているし、あまり見ない表情をするんだな、きっと」

「……え?」

「いや、さっきも紘奈ちゃんと話しているとき、困っているような、迷うような顔をしていて……ああ、紘奈ちゃん、ちょうどうつむいていたからわからなかっただろうけど。由佐が慎重になって女性と接しているのは珍しいなと思ったよ」

そうなの……? ぽかん、と三坂さんを見ていると「まぁ、遠くからだったからはっきり見えたわけじゃないんだけどさ」と、いたずらっぽく口もとを緩めた。

「由佐の学生時代の話とか、聞きたい?」

「教えてくれるんですか!?」

「あ、目の色変わったね?」

思わず前のめりになってしまって三坂さんに面白がられたけれど、由佐さんのこと、いろいろ知りたいと思った。
だって本人にそんな話題を振るようなことはないだろうし、聞いたとしても教えてくれなさそうだもの。

「大学時代の由佐も、とにかくモテたよ。女性関係は……付き合っても長くて三ヵ月くらいだったかな。結構女性には適当に接するタイプで、いつも女の子泣かせてた覚えがある。優しくないし、面倒になったら放っておくし。だから俺、紘奈ちゃんを心配していたんだ。あいつは勝手に女性が寄ってくるからって、大事にしようって気持ちが薄いんだろうなって思っていたから」
< 72 / 153 >

この作品をシェア

pagetop