冷徹部長の愛情表現は甘すぎなんです!
「あれ、なんか急に元気なくなっちゃったね……どうした? ああっ、やっぱり紘奈の話を聞くにはランチの時間だけじゃ足りない! 今週中に仕事終ったら飲みにいこう!」

励ますように明るく言う夏穂子に、わたしは小さく笑って「うん」と返事をし、残りのサンドイッチを食べた。


カフェを出て、『飲みに行く日、連絡するね!』と言ってエレベーターへ乗り込んでいった夏穂子に笑って手を振ったあと、ドアが閉まって短いため息をついた。

朝からずっと気になっている香弥さんのこと、由佐さんに聞いてみようか……なんてことを考えたけれど、急に香弥さんの話をしたって『どうしてそんなことを聞くんだ?』と言われて、わたしが困る姿が目に浮かぶ。

でも、このままもやもやしているのも嫌だなと思いながら、オフィスに戻る前に同じ階にあるコンビニへと向かったとき、出入口でばったりと香弥さんに会ってドキリとした。
お昼までこのビルにいるって言っていたっけ……。

「あ、由佐くんと一緒にいた……」

「こ、こんにちは」

目が合ってしまい、無視できないのでお互い立ち止まる。にこり、と微笑んだ香弥さんが出入口の邪魔にならないよう、端へと寄った動きにつられてわたしも移動してしまった。
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