慰めのDISCO
ここは小さなビデオ屋で、個人経営の潰れかけの店。
私の生い立ちを知ってるのは、店主のおじちゃんだけ。
幽霊の私でも雇ってくれた。
「それ、そこの棚じゃないから。俺より先にいるんだから、いい加減場所覚えろよ」
「いちいちうるさいな。分かってるよ 」
同期はこの、修斗だけ。
不真面目ながらも、高校に通ってるらしい。
私は小学校も中学校も行ってない。
本当に閉ざされた空間でしか育ってないから、高校なんか未知すぎてよく分からない。
足し算と引き算と割り算に掛け算、それに漢字、その他もろもろ必要最低限のことは全部育ての親のマスターに教えてもらった。