君が残してくれたもの
私は一体何を忘れてしまったんだろう。

机の落書き、時々思い出す会話…

かき氷に、ピアス…

散りばめられた破片たちをどう合わせれば繋がるのだろう。


頭の中でどう組み合わせてみても、うまく繋がらない。

そのもどかしさの中、私は薄々気づいていた。


まだ足りないのだ、破片たちを見つけていかなければ…

なくした記憶に繋がらないと。

「確かに、誰かがいたってことだよ。それを忘れるなんて、しかもみんな忘れてるなんて...そんなことあり得るのかな?」


向き合えば向き合うほどに、謎に引き込まれていく。


「いや、あり得ないと思うよ、でも...現実に起きてる、今」

これ自体が夢?
この、今をも疑いたくなるような状況で私たちは同じところで立ち止まるしかできないでいる。


「学校の書類とか...どうなってんだろうね」

久保川くんの言葉に顔を上げた。

「それだ」

顔を見合わせて、頷いた。


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