イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
「白臣、お前は真面目すぎるんだよ。たまには自分を信じてあげたら?」
「は?」
「俺の選択に間違いはないって、ちょっと図々しくなったほうがいい」
「それはなかなか難しいですね……」
「難しくない。簡単だ」
始が簡単だといえば、簡単そうに聞こえるから怖い。
始の学生時代からの数々の伝説を思い出すと納得する面もあるのだが……。
「まぁ、考えておきます」
白臣はうなずいて、そして始を見つめた。
「ちなみに始さんはいつも自分を信じてるんですか?」
「まぁ、どんな結果でも自分で選んだことだと思えばね。逆にすごく楽になれるんだよ」
始はグラスに唇をつけ、それから独り言のようにつぶやいた。
「まぁ、俺もまだ実験中なんだけど……頑張るしかないしね」
それを聞いて、白臣はこの人にコンプレックスなんて、あるのだろうかと思ったが――。
追及するのはやめにした。
「せっかくのマッカランですしね」
「そうそう。人生を楽しもう」
グラスを持ち上げて、二人はにっこりと笑いあった。
【ラブコンプレックス・Ⅱ】完結