イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
ちょっとだけギクッとしたが、慌てて否定する。
(たしかにちょっと楽しいけど……旅行気分っていうかなんていうか、まだ直倫と一緒にここに住むんだという現実味がないというか)
考えてみれば、直倫と一日中一緒にいるなんて小学生の時以来だ。
そしてあの頃は当然のようにそれを受け止めていて――。
(もしかして案外、こんなふうに過ごしていれば、居心地よく感じるのかも?)
『お互いのことを知るために、結婚する前に同棲してみるべき』という教訓は耳にしたことがあったが、まさか自分がそんな状況になるとは思わなかった。
(あっ、でも逆に、私がお試しされているってこともあるわけよね。生活を共にしてみて、直倫が私のことを無理!って思うかもしれないわけで……っていうかむしろ、その確率のほうが大なのでは……)
そのことを考えると、なぜか一瞬胸がもやっとした。
少し前まで、幻滅されたい、あきらめられたいと思っていたはずなのに――。
(なんだこの気持ち……変なの。どういうこと?)
胸にうっすらとかかった靄を洗い流すように、遠子は持っていた缶ビールを煽るように飲み干した。