夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】

引き下がる事も、マオ様の言葉に強引に迫る事も出来ない私。

その時…。


「…あ、でも。
ここで貴女を部屋から出してしまうと、もしかしてアラン様に何か言われたりしますか?」

……え?
……。………。

さっきとは違う。
マオ様のまるで私を気遣う様な優しいお言葉に時が止まる。

思わず顔を上げて、更に驚く。
嘘偽りない、と…信じられる眼鏡の奥の穏やかな瞳。

この方は今まで噂に聞いたお客様とは違う。
何故か、そう直感で感じた。

……不思議。
さっきは”怖い”と感じたのに……。


「……。
…って、聞いてます?」

ボーッと見上げている私の顔面でマオ様が大きな掌を振りながら尋ねてきて、思わずハッとして頭を下げる。


「っ……も、申し訳ございませんッ。」

「……はい?」

「お、お心遣い…ありがとうございます。
っ…けど、私…覚悟は…出来ておりますッ。」

頭を下げたまま自分で自分の手を握り締めて、また震え始めた身体をなんとか私は落ち着けようとした。
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